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遺影の選び方と遺影のその後のマナー

葬儀遺影とは、葬儀の際に祭壇に飾る故人の写真または葬儀後先祖代々飾られる写真の事を指し、遺影は故人を偲ぶ意味があります。遺影の歴史は、江戸中期から明治後期まで流行した死絵が遺影の起源になったのではないかと考えられていますが、はっきりとした事は定かではありません。紙が庶民の手に渡りやすくなったり写真の普及により徐々に広まり、近年では遺影は一般的なものになっています。また、葬儀が終わった後、遺影をどのように扱うべきかわからないという方も多くいらっしゃいます。
今回の記事では、遺影の選び方と遺影のその後のマナーについて詳しくご紹介致します。


遺影の選び方のマナー

写真

遺影選びは葬儀を行う上で難しい問題です。故人との最後のお別れの時ですから可能な限り故人らしさと参列者の心にも良い印象を刻めるような一枚を選びたいと思う事でしょう。遺影の選び方としてまず、なるべく亡くなった年に近いものを選ぶとその年まで生きた証になるのと同時に年齢を重ねた故人の歴史を振り返るきっかけにもなるので良いでしょう。逆に実年齢とあまりに掛け離れた写真では違和感が勝ってしまいますので好ましくはありません。また、長い間入院したりして病気が続いていたような場合には病床中の姿よりも、病気になる前の元気な姿や病状が良い時に撮影した写真を選ぶ方が良いでしょう。
祭壇の真ん中に飾られる遺影は故人の人柄や生き様を表す大事な写真ですので、なるべく良い表情でカメラ目線のものを選ぶ様にすると良いでしょう。ひと昔前までは白黒で無表情の遺影が一般的でしたが、近年はフルカラーで表情豊かなものでも全く問題ありません。写真を選ぶ際は表情の良い写真を選び出してその中から絞り込んでいくと良いでしょう。記念日にプロに撮影してもらった写真や旅行先の写真などの故人が幸せだった瞬間の写真や好きだった事をしている時の写真は表情も豊かですしその人らしさが出てくるものなのでよく選ばれています。カメラ目線のものを選ぶと良いと前述しましたが、参列者がお焼香をする際などに遺影を見た時に遺影と目を合っている感覚になる事ができ、故人との最後のお別れが素敵な思い出として残るでしょう。
良く写っている写真を選ぶだけではなく、その中からなるべく大きく写っているものを選ぶ事も大事なポイントです。近年の写真では解像度が高い物が多いのでネガが残っていなくても拡大して使用することが可能ですが、あまり小さく写っている写真では拡大した際に写真が荒れてしまうこともあるので注意が必要です。同時にピントが合っていない写真も拡大した時には特にぼんやりとした写真になってしまいますので、ピントが合っていてぶれていないような写真を選びましょう。
最後に、遺影用の写真を選ぶ際に背景や服装が気になってしまう方もいらっしゃると思います。前述した条件を満たしていても、服装がくずれていたり背景に他の人が写りこんでしまっていたり遺影の背景としてはあまりに良い印象を与えない風景であったりすると、遺影にするには気が引けてしまう場合もあるかと思います。近年では写真の加工技術が発達していますので、遺影にしたい写真の服装や一緒に移りこんでいる人や物、風景などが気になる場合は加工する事も可能ですので時間や金銭的に余裕がある場合には選択肢に入れても良いでしょう。また、写真の加工では明暗も調節できますので故人の表情や個人らしさを尊重して写真を選ぶことが大切です。

遺影のその後のマナー

葬儀を終えた後の遺影の置き場所や飾る場合にはどうしたら良いのかお伝え致します。葬儀を終えた後はご遺骨安置檀(後飾り)に遺影を飾ります。後飾りは四十九日まで飾ることが一般的とされていますので、納骨が終わった後は後飾りの棚は基本的に不要となります。その為お盆や法事で遺影を使用する予定がない場合には、遺影に敬意を持つことは大切ですが遺影そのものには宗教的な意味はないため位牌等と同じ様に捉える必要はありませんので処分してしまっても問題はありません。宗教的に意味はないので基本的には供養を行う必要があるわけではありませんので、例えば自分で祈りながら焼却することも可能です。気分的にそれではあまり良くないと思われる場合には、ある程度の費用や時間は必要ですがお寺や神社で供養をお願いする事も勿論可能です。
遺影の場合は処分する人の気持ちや考え方が大切になってきますのでどのような処分の仕方が一番後悔や心配が残らないで済むかということで選ぶと良いでしょう。遺影を選ぶ際にその後について考えて写真のサイズを小さくする事も一つの選択肢です。近年では核家族が多く仏間のない家庭も多くあるので、大きな遺影を飾るスペースがない場合や置く考えがない場合があると思います。その場合でも小さいサイズにしておくと飾る場所を取らず、置く場所の選択肢が増えるので近年の生活形式に合った方法でしょう。その他、遺影をデータ化してパソコンなどで保存する方法も増えてきているようです。
何点か例を挙げましたがそれぞれの生活や時代によっても遺影のその後の対応は変わりますし、人によっても遺影に対する気持ちや想いは違うものです。いずれにせよ、それぞれに合った形式でも故人に対する敬意を忘れない事が大切でしょう。

遺影の大きさやフレームのマナー

遺影のサイズは、これにしなければいけないといったような決まりは無いのですが、葬儀の祭壇は会葬者が遠くからでもよく見える様にといった理で一般的には四つ切サイズ(新聞紙1ページの4分の1程度)かA4サイズが多く選ばれているようです。その為、遺影のサイズは自由に決める事が可能ですが祭壇に飾る事を踏まえると余りに小さすぎるサイズでは参列者が見えづらくなるので注意が必要です。
遺影のフレームは、かつては写真が白黒だった名残から黒額が一般的でしたが、近年ではカラー写真が主流になってきている事からフレームも色額が徐々に増えてきています。故人が好きだった色等を選ぶ事も故人を偲ぶ一つの手段に良いかもしれません。


遺影のその後のマナー

遺影

葬儀を終え、遺影がご自宅にある段階はまずご遺骨を安置する檀である後飾り祭壇です。こちらは四十九日まで飾ることが一般的とされています。四十九日の法要が終わるまでの間、故人の魂がこの世で過ごすとしている宗教もあり、納骨が終わった後は後飾りの棚は基本的に不要となります。そのため、遺影についてもお盆や法事で使わない場合には、処分してしまっても問題はありません。お盆や法事で使う場合というのは、例えば初盆の法事などで使用する場合は保管しておくのが良いでしょう。ただし、初盆や法事については地域や風習、宗派などによっても異なりますので、あらかじめ形式を確認しておく必要があります。
この様に四十九日までは仏壇の近くに後飾りの棚を設置し、その上に遺影を飾ります。四十九日の後は、仏間や床の間などに遺影を飾ることが一般的とされていますが、葬儀に使われる遺影はサイズが大きめのものが多く、飾る場所を決めるのが困難な場合もあり、最近では写真のサイズを小さくして飾ることも多いようです。L版や2L版などのサイズに焼き直して、フォトフレームとして仏壇の近くに飾る方が多いようです。人によっては、遺影をデータ化しスマートフォンやパソコンなどに保存されるという方もいらっしゃるようです。大切なのは故人を慈しむ気持ちですから、それぞれの事情に合わせた方法を選択すると良いでしょう。

また、遺影は故人の面影をのこす写真ということで、半永久的に飾るという一面が見られる場合もあります。中にはご実家などで先祖代々の方の写真や肖像画が並んでいるのを見掛けたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。こちらについては特に宗教的な意味はないため、取り扱いに関してあまり神経質に考えなくても良いでしょう。

遺影のリボンのマナー

遺影のリボンは明治時代、日清・日露戦争があった当時、死を覚悟して出征する軍人が出征前に写真を撮影し、遺影として残していくことが流行しました。戦死した軍人の葬儀では、こうして事前に撮影した遺影を使い弔われていました。その際、葬儀に参列した戦友が自ら付けていた喪章を外し遺影にかけて故人との別れを悲しんだことが遺影のリボンの起源と言われています。起源から見ても、遺影にリボンをかけること自体に宗教的な意味合いは特にはありません。

そのため、遺影のリボンを外す時期については特別決められたルールはありません。一般的に葬儀が終わったら外すことが多いですが、遅くとも四十九日の法要が終わったら外した方が良いとされています。四十九日の法要は喪に服す期間の終わりであり、日常生活に戻る区切りともなります。日常生活に戻るという意味でも、四十九日の法要が終わったら遺影のリボン、つまり遺影にかけた喪章を外した方が良いとされているのです。

処分方法のマナー

前述しきた通り、遺影には宗教的な意味はないため、普通に処分してしまっても問題はありません。遺影から外したリボンについても、宗教的な意味合いはありませんから特に処分方法の決まりもありません。しかし、故人への想いから、ましてや写真や肖像画をゴミとして普通に捨てるのには抵抗があるという方も多いかと思います。そのような場合には、近くのお寺や神社などに遺影の供養をお願いするというのも一つの方法です。ただしこちらについては、供養に対する費用もかかりますし遺影の供養を行ってくださるかはその神社やお寺によっても変わってきますので、事前に確認をしてからお願いするようにしましょう。また、ご自分でお祈りしながら焼却するという方や塩を振ってから新聞などに包んで処分するという方もいらっしゃいます。大切なのは故人に対する気持ちですから、ご自分の納得できる方法で処理されるのが良いでしょう。

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