代理人としての香典と袱紗のマナー
社会人になると自分達の親族以外の会社関係や友人関係で葬儀に参列する機会もあるかもしれません。そして、代理を頼まれた際には香典を預かり葬儀にも代理人として参列する場面もあるかもしれません。実際に代理人として参列する際には受付での対応等が少し変わってきます。事前に代理人としてのマナーを心得ておくと、いざという時に慌てずに対応できます。また、袱紗(ふくさ)とは、贈り物の金品を包んだり覆うことに使用する儀礼用絹布で、元々は貴重品などを入れた箱の上にかけていた風呂敷が贈答品を運ぶ際に日焼け防止として使用されたのが始まりと言われています。近年では冠婚葬祭の際に熨斗袋を包む用途として、葬儀においては香典袋を包むのに使用されています。
今回の記事では、代理人としての香典マナーと袱紗について詳しくお伝え致します。
香典の渡し方マナー
会社関係の葬儀や通夜の受付で香典を渡す際一緒に名刺を渡すことは失礼にはなりません。遺族の方に亡くなった人との関係性を示すものにもなりますので、受付で名刺を渡すことは可能です。葬儀に参列した場合に渡す名刺には、書き足しておくべきことがあります。まず依頼主の名刺には右上に「弔」を記入し、代理人の名刺の右上には「代」と記入します。基本的には代理の人の名刺は出さず依頼主の方の名刺を渡しますが、受付の方に求められた場合のみ代理の人の名刺を出すのがマナーなので、名刺を求められた際に慌てない様に依頼主・代理人の名刺共に書き足すべき事柄を記入した状態で準備しておきましょう。
名刺を渡すタイミングについては、香典を渡すタイミングで名刺も一緒に受付の方に渡します。香典と名刺の向きを受付の方が読みやすい向きにして渡しましょう。名刺については、名刺盆というものが受付に置いてある場合もあります。その際にも受付の方が見やすい向きにして置くのがマナーです。受付がない葬儀の場合では、拝礼の際に香典と名刺を供えるか、遺族の方に直接手渡しをすることも可能です。いずれの場合も、相手に見やすいような向きで渡すようにしましょう。
香典と記帳
通常であれば、香典は代理をお願いする側が用意しますから代理として葬儀や通夜に参列する時には香典を用意する必要はありません。しかし、急なことで香典が用意できない場合には代理の人が代わりに香典を購入し表書きなどの記入を任されるときもあります。代理の人が香典を準備する場合の表書きでは、依頼者のフルネームを書き左下に代理人の「代」と記入するのが作法です。自分の配偶者の代理としての表書きでは、配偶者のフルネームを書き左下に「内」と書きます。また、亡くなった方が会社の取引先の人であった場合には、上司の代理を務めると共に会社の代表としての参列をするということになります。その場合の表書きでは、会社の名前と上司の名前をフルネームで書き左下に「代」と記入しますが、注意点として会社の名前が長い場合や(株)(有)などの会社の種類についても省略して書くのではなく、長くなっても正式な会社名を記入しておきましょう。
香典の準備が済んだら、受付での記帳でも注意が必要です。記帳をする際には、受付の人にまず口頭で本人が参列できず代理で来た旨と共に遺族の方へのお悔やみを言い香典を手渡します。記帳する名簿には依頼をしてきた人のフルネームと住所を記入漏れのないように書きます。(書き間違いを起こさないためにも依頼主にメモに書いてもらうなどして確認できるようにしておくと良いですね)代理として来たことが分かるように、この際に依頼主の名前の横に自分の名前と「代」と記入しておくことが必要です。依頼主が配偶者であればこの際も「内」と書きます。上司の代理での参列の場合では会社の住所と会社名を省略せずに書き、上司の名前をフルネーム・部署・役職名をしっかりと記入しておきましょう。そして上司の名前の下に「代」と記入し自分の名前もフルネームで書きます。会社の代理としての参列では、自分の名前の前に「代」と書きましょう。
御礼品や通夜振る舞い
代理人として参列した際には、香典の当日返しや会葬御礼品についての注意点もあります。香典返しは香典をもらった事に対する感謝の気持ちが込められている返礼品ですので、代理で参列した際にも香典返しを預かるのが礼儀です。代理で参列しているからとお断りをすることはマナー違反になりますので控えましょう。代理として香典返しを預かった場合には、依頼主本人に香典返しを渡すまでが代理としての役割となりますので責任を持って預かりましょう。また、代理として来たという旨を受付で話した際に、香典返しを渡すのを今にするか、郵送で本人に届けるかを尋ねられる場合もあります。本人にすぐ渡すことができるのであればその旨を伝え、その場で受け取る方が良いでしょう。渡すことが難しい場合には、郵送にしてもらうことも可能です。郵送自体は聞かれたら可能ですが、手間がかかる事ですから自分から郵送にしてくださいといったように催促することは言わないように気を付けましょう。
通夜に代理として参列した場合には、通夜振る舞いといって亡くなった人との思い出を語ったり、遺族の方の心を慰めたりする食事会に誘われることもあります。代理でも、通夜振る舞いは可能な限り出席をしたほうが良いでしょう。やむを得ない事情があり参加できない場合には、お断りすることも可能です。その際には失礼のないように丁重にお断りしましょう。
袱紗の種類のマナー
袱紗には大きく分け「包む形状」と「挟む形状」の二種類あります。包む形状には、正方形の布がそのまま使われた風呂敷タイプとその形状に留め具が付いた爪付きタイプや台のついた台付きタイプがあります。台と爪の両方が付いている物もあります。正式な場面で使われる一般的なものが風呂敷タイプとなります。使った後に持ち帰る際には小さく畳むが事ができるので、小さなかばんを持ち歩く事が多い冠婚葬祭の場面で重宝します。爪付きタイプは留め具が付いていますので持ち歩く際に包みが開く心配がなく安心です。台付きタイプはご祝儀・御香典をのせやすいだけでなく、香典袋のずれや型崩れを防ぐことができます。ただし、台の色が赤いものは慶事用なので注意しましょう。
挟むタイプには金封袱紗というものがあります。中にそのまま挟むだけでよいので開閉がとても簡単な上に包む際の手間がないので、近年では使いやすさの面から金封封鎖は老若男女問わず人気です。しかし、ここで注意して頂きたいのが、元々正式とされている物は先に述べた包むタイプなので、場面や出席者との関係性によっては使い分けるようにしましょう。下記に袱紗の代表的な種類をまとめましたので、こちらも参考にして下さい。
袱紗の色について
袱紗を選ぶ際に色は重要な点になります。失礼の無いようにしっかりと確認をしましょう。
弔事で使用できる代表的な色はこちらです。
- 紫
- 緑
- 紺
- 茶色
- 藍
- グレー
といったように、寒色系が使用可能です。注意したい点として、紫は慶弔と弔事のどちらでも使用することが可能ですが薄紫は暖色に含まれ慶事用とされることが多い為、弔事の際はなるべく色の濃いものが良いでしょう。刺繍や柄が入っているものは華美な印象にになりがちなので避けた方が無難ですが、弔事で使うふくさに柄が入っている物を選ぶ際は蓮や菊・蘭などの柄が適しています。また男性が使うふくさは基本的には柄のない紫色が無難であるとされています。
袱紗の包み方について
袱紗の包み方は祝儀袋と不祝儀袋とでは包み方が異なるので特に注意が必要です。詳しい包み方については下の図を参考にして下さい。