腕時計と学生や子供の服装のマナー
葬儀に参列する場合には様々なマナーがあります。身だしなみにも気を遣うのも最低限のマナーですが普段何気なく身に付けている腕時計も例外ではないことはご存知でしょうか。時計は冠婚葬祭、特に葬儀では外すべきだと聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。また、学生や子供がお通夜やお葬式に参列する場合、服装に悩まれる方も多いでしょう。幼稚園や学校の制服がある場合は制服が正装になりますが、日々体が成長してしまう子供の為に礼服を前もって用意しておく事は難しいです。
今回の記事では、腕時計と学生や子供の服装のマナーについて詳しくご紹介致します。
大学生の服装マナー
大学生の服装は、正式な喪服が用意出来ればそれに越したことはありませんが、近年では大学の入学式にはスーツで参加することが定番となっているので多くの学生が入学式に合わせてスーツを、就職活動を行う際にはリクルートスーツを購入しています。しかし入学式は祝儀の為明るい色のスーツを購入している方もいますのでその場合は着用は出来ません。黒や紺、グレーのスーツであれば着用可能です。学生の間は社会人ほどお通夜やお葬式に参列する機会が多くない為、リクルートスーツでも大目に見て貰えることが多いです。しかし同じ黒であればリクルートスーツは喪服と変わり無いと思われがちですが、素材や仕立ての違いもあり女性の場合はスーツのようにジャケットとスカートという組合せの喪服自体が無いといった様にリクルートスーツと喪服は全く別物である事を覚えておきましょう。
もし参列するのがお通夜であれば、紺やグレーなどの黒以外のスーツでも許容範囲ですが、近年ではお通夜でも喪服を着る傾向が強くなっている為、参列者の殆どが喪服なので覚えておきましょう。ストライプが入ったスーツでもお通夜であれば許容範囲ですが小物類も含め、明るい色や光沢のある素材は避けるようにして下さい。勿論アクセサリーなどの装飾品は不可です。
お葬式では、学生の内は必ず喪服を着なくてもマナー違反にはなりません。しかしお通夜では許容範囲であった紺やグレーですが、お葬式では避けるようにしましょう。黒以外はマナー違反となります。黒であれば、お葬式でリクルートスーツを着用してかまいませんが男性の場合はネクタイは黒、女性の場合は光沢の無い黒いインナーだけは用意しましょう。靴やバッグも必ず黒にする必要がありますのでスーツに合わせて黒い靴を購入した場合はそれを使用すれば良いですが、違う色の物を購入していた場合は改めて黒を購入する必要があります。また、女性の場合は靴は底がフラットないわゆる「ぺたんこ靴」は、カジュアルな印象になってしまいますので何か特別な理由がない限りは3~5cm程度のできるだけ太めのヒールで黒の靴を選び、バッグは黒であってもリクルート用は使用出来ませんので、光沢の無い黒のハンドバッグを持っていきましょう。もし持っていなければ、バッグだけはお葬式用のものを購入しておいても後々の為良いかもしれません。
最後に学生の間は髪を明るくしている事も多いと思います。金髪に近いくらいに明るくなってしまっている場合や派手な髪色をしている場合は、可能であれば黒のスプレーなどで一時的に落ち着かせるなど対策をしましょう。髪型はできるだけ小さくまとめ、男性は整髪剤などで落ち着かせる様にすると良いでしょう。
園児や学生の服装マナー
園児や学生の服装は幼稚園や学校の制服がある場合は制服が正装になりますが、注意したいのがリボンやネクタイ等です。鮮やかな色のリボンやネクタイ等がある際は取り外して着用すると良いでしょう。
未就学児や小学生で制服が無い場合は入園式や七五三等で着た服が黒や紺、グレーのスーツならそれを利用すれば問題ありません。それも無い場合は、可能な限り正装らしい服装を心掛ければ良いですが、白のポロシャツと紺色やグレーのスカートやズボンを合わせるのでも十分です。シャツはワンポイント程度の柄は問題ありませんが、目立つ柄が入っている場合はベスト等で隠せれば良いのですが、難しければ避けましょう。女児の場合は黒が無ければ紺、グレーや茶等色の暗めの色のワンピースタイプでも構いません。無地が難しければ、華美な柄でなければ気にする必要はありません。しかし、ここで注意したいのが無地でもサテンなど光沢のある生地は避けた方が良いということです。華美すぎなければ黒でレースを使った物は許容範囲に入ります。心配であれば親族の方達に事前に相談しておくと良いでしょう。
服と同様に難しい点で挙げられるのが靴です。未就学児や小学生の場合はフォーマルの靴を普段から用意している事は難しい事です。その場合には普段履いている運動靴でも構いませんが、原色などのはっきりした色や派手な柄の入った靴は出来る限り避けましょう。また、夏でもサンダルは避けます。靴下は白でも構いませんが、比較的簡単に手軽に手に入れる事が出来るので黒を用意しても良いでしょう。靴下の長さは、ハイソックスは問題ありませんが、ニーハイやルーズソックス、靴の中にすっぽりと隠れて何も履いていないように見えるくるぶし丈の物は例え黒であっても避けましょう。
新生児や乳児の服装マナー
新生児や乳児の服装は、明るい色の服は多く販売されていますが、反対に黒やグレーの服を探すのは難しい事です。乳児がお通夜やお葬式に参列する場合は近親者が亡くなった場合になりますので、なるべく華美でない服装であれば特に問題は無いとされています。新生児や乳児がお通夜やお葬式に参列する場合は近親者が亡くなった際となりますので、他の参列者も大目に見てくれる事が多いようです。しかし、原色や色がはっきりとしていたり、花柄やフリルなどの華やかな印象の装飾や、赤と白などのおめでたいことを想像させる色合いは避けるべきです。
葬儀における腕時計のマナー
弔事には故人と関わりの深い方が数多く参列する場であることが多いです。面識がない方も参列していますし、他の参列者の方に不快な思いをさせないように身に付けるものな対する正しいマナーを知っておく必要があります。時計をつけることはマナー違反にあたるのかと気にする方もいらしゃるかと思いますが、結論からいうと「時計を付けてはいけない」という決まりはありませんから、時計は付けていても問題はありません。
ただし、参列する方の中には時計はアクセサリーという分類で判断している方もいらしゃるかもしれません。また、時計と一括りにいっても素材やデザインの仕様が多い腕時計から、近年ではスマートウォッチなどの普及も背景にあり様々です。少し前に葬儀にスマートウォッチを身に付けたことが物議を醸し話題になりましたが、デザインやサイズによっては葬儀に相応しくないためマナー違反になりますし、使い方によってはどのような時計でもマナー違反となります。どのような時計であればマナー違反にならないのかという点も踏まえながら、使い方のマナーについてもこの機会にお伝えしていきます。
時計の選び方のマナー
葬儀は大切な人を失った悲しみにくれている方が沢山いらっしゃる場所ですから、時計の選び方は慎重になることが大切です。手首につけた腕時計が人の視界に入るのは主に受付で記帳する際や焼香・献花の際などですのでそれほど目立たないのではと油断してしまいがちですが、葬儀に相応しくないデザインの時計を身に付けるのは失礼にあたることがあります。どのような時計であれば葬儀で付けても良いのか、選び方を見てマナーを身につけておきましょう。
まず第一条件としてはシンプルなデザインを選ぶことが大切になります。派手でカジュアルな時計とされる見るからに光沢感がある物や装飾でキラキラしている物、必要以上にゴツゴツしていたりする物を選ぶのは避けましょう。総合して目立つようなデザインはおしゃれ度が高くなる傾向にある為、不快感を覚える方も中にはいらっしゃいますから、そういったものは避けた方が無難でしょう。
デザインだけでなく時計のサイズに注意する必要もあります。全体的に太さがあるデジタルウォッチやスポーツ用の腕時計・クロノグラフ(ストップウオッチ機能を備えた時計)など文字盤が大きく整然として見えないデザインのものを選ぶと派手な印象やカジュアルな印象を相手に持たせてしまう可能性があります。文字盤が大きいデザインや全体的に太さがあるようなものは避け、スタンダードなサイズのものを選びましょう。
次に時計の色や素材についてのマナーですが、素材がゴールドの時計は葬儀の場に相応しくありません。煌びやかなイメージを与えるゴールドは光沢感も伴う場合が多く、葬儀の雰囲気を崩してしまうでしょう。シルバーの時計であれば身に付けて問題はありません。ほとんどの時計にシルバーが使用されていますし、落ち着いた色味であればつけても問題ないでしょう。また、ベルトは金属製か革製のシルバー・黒・落ち着いた茶のものを選ぶようにしましょう。金属製のシルバーのベルトであっても輝きが目立つステンレススチール製のベルトは避けたほうが良い素材です。革製のベルトについては、本来であれば黒が好ましいとされていますが、渋めで落ち着いた茶のベルトも選んでも良いとされています。しかし明るい茶や殺生をイメージさせるアニマル柄や型押しのものは避けましょう。文字盤の色は白か黒の物をつけていきましょう。男性は黒色のスーツに白のシャツという服装で通夜に参列するのがマナーですから、男性は白の文字盤の時計を選ぶのがおすすめです。女性も喪服を着ていることを考えると黒の文字盤の時計を選ぶのがおすすめです。
時計の色や派手さなどを総合的に見て厳粛な場に相応しいものであれば、葬儀に参列する際に付けて行って問題はないでしょう。ですが人にとっては不快に感じられることもありますから、葬儀が始まる前に時計を外すか、付けても良いか確認をとると安心ですね。また、うっかり外し忘れてしまったり進行の為に時間の確認が必要な方は、時計が見えないように袖の内側に付けるのもひとつの方法でしょう。
ここからは、懐中時計・スマートウォッチについてをお伝えしていきます。
まずは懐中時計についてですが、一般的に懐中時計も腕時計と同様の扱いとなり派手なものでなければ問題がないとされています。また、懐中時計は腕時計と違いポケットなどにしまえば傍からは見えなくなってしまう物ですから、どうしても時間を確認したいといった場合に場所や状況を選んで懐中時計を出して見ることができますから、人の目に触れず付ける事が可能です。しかし近年では懐中時計は腕時計との差別化を図るために装飾性が高いものが多くなってきている傾向にありますから、人の目には触れない様につける事が出来るといえど配慮が必要です。懐中時計の場合でも派手なものではなく装飾が過度に付いていないようなシックなものを選ぶことをおすすめ致します。
スマートウォッチについては、通知をオフにして音が出ないようにしておけば問題がないとされています。しかし、注意が必要なのはスマートウォッチは見た目がカジュアルに見えてしまいますのでマナーに厳しい方や遺族の方の中には、スマートウォッチをおしゃれをする為のものと捉える方もいらっしゃるかもしれませんので、他の時計と同様に葬儀中は外すか、付けてこないほうが無難かもしれません。
注意点
葬儀に参列する際に、黒ネクタイや喪服といったようなものとは違い、時計はマストアイテムという訳ではありません。必ずしもつけてはいけないという訳でなければ、必ずしもつけなければならないという物ではないのです。ですから、葬儀に参列する際にふさわしい時計を持っていない場合・必要性がない場合は付けないという選択肢もあります。ここからは、葬儀に参列する際に注意したい時計の使い方や注意点にはどのようなものがあるかお伝えしていきます。
先に葬儀に参列する際にふさわしい時計を持っていない場合・必要性がない場合は付けないという選択肢もあるとお伝え致しましたが、時計代わりに携帯電話を使う方が近年は増えてきました。スマートフォンを含めた携帯電話の電源は、葬儀に参列している間は切る・もしくはマナーモードにするのがマナーです。携帯電話で時間を簡単に確認できますが、葬儀で使用すると周りの方まで気が散ってしまいますし不快に感じます。葬儀の場では携帯電話を時計代わりとして使用するのみならず、基本的には取り出さないようにするのがマナーだと頭に入れておきましょう。時間が気になる場合もあるかと思いますが、葬儀は故人に哀悼の気持ちを表す場ですから、自然と時間が過ぎるのを待つのがマナーです。
先にもクロノグラフは着用しないという事をお伝え致しましたが、見た目の特徴のみならず機能性が高い腕時計はアラーム機能がついているタイプや文字盤が光る腕時計についても、誤作動や消し忘れで音が出てしまったり光ってしまったりして周囲に不快感を与えるリスクがありますので、出来るだけ避けた方が良いでしょう。
同様の理由で、スマートウォッチも避けた方が無難です。スマートウォッチは携帯電話と連動させて様々な機能が使えます。携帯電話にきた通知を見る事が出来たり、メッセージアプリを開くことも可能です。大変便利な機能ですが、葬儀の場では時計代わりだとしても携帯電話を使う行為はマナー違反ですから、スマートウォッチでもメッセージアプリを開いたりする事はマナー違反です。ディスプレイを光らせたりすることも周囲に不快感を与えるリスクがありますから、通知が来た際にディスプレイが光るスマートウォッチは避けた方が無難です。
時計は社会人にとってマストアイテムですし、スマートウォッチや携帯電話も今の時代では当たり前に普及しているものですし、葬儀は定められた時間に始まりますから会場に到着するまでは時間を確認する為に必然的に必要なアイテムになるでしょう。その為だけに新たに時計を用意するのは難しいことですから、会場に着いたら時計を外したり、携帯電話の電源を切ってしまうなどして、マナーを守れると良いでしょう。