危篤の連絡と葬儀社を紹介された場合のマナー
危篤の連絡を受けるまでの状況は様々ですが、大切な方が危篤だという連絡を受けた場合に多くの方は大きなショックを受けると同時に動揺してしまうでしょう。大切な方の危篤は辛いものですが、その際にはやらなければならないことがあります。また、病院で亡くなった場合に病院から葬儀社を紹介されるケースがありますが、その際には注意が必要な場合があります。
今回の記事では、危篤の連絡と葬儀社を紹介された場合のマナーについて詳しくご紹介致します。
危篤のマナー
危篤とは病状が悪化し意識がなくなりいつ亡くなってもおかしくはない状態のことを指します。基本的には回復を期待できない状態といえますが、一口に危篤といってもその状況は様々な上に症状にも波がありますから意識を取り戻す場合もあります。危篤と医師に告げられると亡くなるまでどれくらいの時間があるのかということを考える方も少なくはないと思いますが、危篤状態から回復する可能性がどのくらいあるかは誰にもわからないように、いつまで時間があるのかも明確には誰にもわかりません。臨終に立ち会うことを希望する場合には、病院に泊まり込むことになる可能性もありますし、その期間は数時間後なのか数日後なのかはわかりませんが、家族としてはそのときを迎える心の準備が必要になります。その様な状況下でも希望を持ち続けることはとても大切なことですが、貴重な時間を有意義に過ごすためにも、もしもの時に備えて行動することが求められます。病院へ着いた後には医師から対応や決断を迫られることも多々あるでしょう。ショックや動揺した状況下であっても命は待ってはくれません。後々の後悔を軽減させる為にも冷静な判断や行動が出来るように覚悟や心構えは大切になってきます。
危篤を知らせる場合のマナー
危篤の連絡を受け、ご自身が病院へ急ぐことに加え、身近な方への連絡も必要となってきます。
一般的に危篤を知らせる方の範囲としては、
- 危篤を知らせる方の範囲
- 三親等以内の親族
- 同居の家族
- 親しい友人・知人
などと言われています。三親等以内というのは、配偶者・子・孫・ひ孫・親・祖父母・曾祖父母・兄弟姉妹・伯父(叔父)・伯母(叔母)・甥・姪があたります。また血のつながった親族(血族)だけでなく、結婚によって生じた親族(姻族)も近親者に含めます。しかし、ここまでお伝えした一般的に危篤を知らせる方の範囲の方々はあくまでも一般的に言われている目安ですから、危篤のときに優先して連絡すべきなのは「最期に立ち会ってほしい方」です。実際の関係性における付き合いの深さを考慮し戸籍上の近さよりも本人が最期を看取って貰いたいと思うであろう方、貴方が看取りに立ち会ってもらいたいと思う方を優先して連絡を入れるべきと言えるでしょう。しかし、あまりも人数が多くなると病院側だけでなく他の患者さんにも迷惑がかかってしまう場合がありますので最低限の人選とされることをおすすめ致します。危篤の連絡の手段については、急を要することなので一般的には電話で行います。メールやLINEなどのメッセージツールではいつ読まれるのかわかりませんし、事の重大性が伝わらない可能性もあります。確実に用件を伝える為にも電話で連絡をするようにしましょう。病院での対応に追われ大変な状況ではありますが、メッセージを残しつつ電話もかけるとより丁寧でしょう。
伝える内容としては、
- 危篤を伝える際の内容
- 誰が危篤なのか
- ご自身の名前や危篤者本人との関係
- いつまでに・どこに、来てもらいたいのか
は最低限伝えましょう。また、たとえ深夜や早朝であったとしても危篤の場合は電話をかけても問題はないでしょう。その場合には「こんな時間に申し訳ありません」と一言お詫びの言葉を添えた上で連絡すると良いですね。遠方に済んでいる方に連絡をする場合には特に配慮が必要です。分かっている範囲で現状を伝え、すぐに来てもらうのか、次の連絡を待ってもらうのかなどを確認しましょう。遠方の方の他にも、高齢の方や病気療養中の方、産前産後の方へ対する危篤の連絡についても精神的なショックで体に大きな負担がかかってしまうかもしれませんから、慎重な判断が必要となります。危篤者本人との付き合いの深さにもよりますが連絡をしようとする相手の状況や気持ちに配慮して連絡をするしないを考えましょう。
注意点
危篤の連絡を受けた後には身近な方への連絡も必要となってくるとお伝え致しましたが、その他にも連絡が必要となります。まずは職場への連絡です。危篤状態は先にもお伝えした通り必ずしもすぐに臨終を迎えるわけではありませんので数日から数週間、危篤状態が続くこともあります。数日間であれば職場の方も事情を理解して休ませてくれるかもしれませんが、長期間続くとなると人員不足などで業務にも影響が出てしまいます。そういった場合に備え可能な限り早めに職場への連絡も必ずしておく必要があります。数日にわたって仕事を休むという場合になった場合には、定期的に連絡を取りながら状況を伝え相談します。その際に危篤者本人の状態や医者の意見を前もって把握しておき説明できるようにしておきましょう。
またもしもの場合に備えて、菩提寺などの関係のある寺院の連絡先を確認しておくと安心です。可能であれば、あらかじめ状況を伝えておくことでもしもの場合には迅速に対応していただけるケースもありますから、特に菩提寺が遠方にある場合などは早めに連絡するとよいでしょう。また、キリスト教の場合であれば危篤状態に陥ったら、まだ生命があるうちに司祭(神父)・牧師に連絡をして臨終に立ち会ってもらうケースもあります。カトリックの場合であれば、臨終の祈りなどが司祭(神父)によって行われ、プロテスタントの場合であれば本人の希望がある場合には聖餐式(せいさんしき)を行うこともありますので、宗教ごとに確認しておくようにしましょう。
また、支払いに備えて必要な現金を確保することも大切です。看取り後は病院への支払い・タクシー代・遺体の搬送・駆けつけた方への飲食費など、様々な支払いが発生します。あらかじめ必要な分の現金を準備しておきましょう。本人が亡くなると銀行口座は間もなく凍結され、相続関係が整理されるまではその口座のお金は一切引き出せなくなります。生命保険も下りるまで時間が掛かりますし、大抵の場合は葬儀費用を支払った後になることになりますので、そのあたりも踏まえ現金の用意についても注意しておきましょう。
病院から葬儀社を紹介される場合のマナー
病院で亡くなった場合、遺体は病院から安置先まで搬送する必要があります。この際、あまり時間的な余裕がないという場合が一般的です。それぞれの病院によっても事情は異なりますので一概には言えませんが、病院に入院して治療を受けたくてもベッドが空いてない為に入院ができないという方もいらっしゃいます。そういった方を受け入れる為には亡くなった方を病室から移さなければならなりません。この際に病室から移した故人を安置させる場所が充分に確保できていないと、すぐに病院から出て行ってほしいといわれてしまうことになります。この時を葬儀という視点から見ると、病院で亡くなった際に一番困るのは短時間の間に病院を出なければならないということです。この時点で依頼する葬儀社が決まっていれば、その葬儀社へと連絡を入れれば迎えに来てくれますが、問題なのは病院で亡くなった時に葬儀社が決まっていない場合です。
葬儀社が紹介されるケースとして、葬儀社が病院に入っているケース・病院が葬儀社を紹介するケースなどがあります。いくつかのパターンがありますが、ひとつは葬儀社のスタッフが直接遺族に葬儀の説明をするというものです。このような場合には病院の一室に病院と提携している葬儀社のスタッフが待機しています。患者が亡くなると、この葬儀社のスタッフが病室から霊安室までの移動や死後の簡単な処置を行ってくれるのが一般的です。この時「葬儀社がまだ決まっていないのであればお手伝いします」というように、搬送や安置葬儀の説明をされるのが一般的です。病院に入っている葬儀社は必ずしも一社とは限りません。複数の葬儀社が病院と提携し順番に待機しているということもあります。一方、葬儀社のスタッフが直接説明するのではなく、病院のスタッフが葬儀社を教えてくれることもあります。この場合は、近隣の葬儀社であったり、また一覧のリストを渡され遺族がリストの中から葬儀社を選び直接連絡するということもあります。
葬儀社を選ぶ際の注意点
事前にご自身や家族の方が満足頂けるサービスを提供してくれる葬儀社を選べていることが一番良い選択肢ですが、人の死というものは唐突にやってくるものですから、病院から紹介された葬儀社を選ぶというのもひとつの方法です。ですが、その際には注意点がいくつか考えられます。ここからは紹介された葬儀社を選ぶ際の注意点についてご紹介いたします。
まずひとつめの注意点としては、葬儀費用が高くなる可能性があるという点です。病院と葬儀社の契約にもよりますが病院に入る為に費用がかかる場合もあります。このような場合には、葬儀社としては病院への営業にすでに大きな費用をかけている為、葬儀の仕事でこの分の費用を回収しなければなりません。その為、病院に入っている葬儀社は葬儀費用が高いといわれていました。また、病院から紹介された葬儀社に決めてしまった場合、他の葬儀社と比較できないという注意点もあります。大切な方が亡くなって気が動転している間に、きちんと判断せずに申し込んでしまったという場合に、改めて葬儀の内容について故人の希望した葬儀ができないということがあり葬儀に不満が残ってしまったというケースもあるようです。
断る場合のマナー
せっかく紹介して貰ったのに断るのは気が引けると考える方もいらっしゃるかと思いますが、病院から紹介された葬儀社を断ることに何ら問題はありません。すでにここに頼むという様に既に決めている葬儀社があるのでしたら、勿論その旨を伝えれば良いですし、また他社も比較して決めたいという場合もその旨を伝えると良いでしょう。いち早く病院から出なくてはならない場合には搬送のみ依頼することも可能です。しかし搬送のみをお願いする際に注意しなければいけないのが安置場所です。自宅に故人を安置することができず、ほかに安置先が決まっていない場合であれば通常は搬送を依頼した葬儀社の施設に故人を安置します。この際、搬送費だけでなく安置施設の使用料など安置に必要な費用もかかるケースがあります。そのままその葬儀社に葬儀も依頼する場合はある程度割引などが適用される場合もありますが、葬儀は他社に依頼するという場合には正規の安置料が請求されるのが一般的です。再度、他社へ搬送する費用もかかることを考えると、全体で見て割高になってしまうことは多々ありますので注意が必要です。