葬儀におけるストッキングとハンカチのマナー
葬儀には服装や持ち物に様々なマナーがあります。葬儀に持っていくハンカチにも基本的なマナーはあります。参列する際に周りの方の気分を害さないよう、ハンカチにまつわるマナーをしっかりと覚えておくと良いでしょう。また、葬儀や法要などでストッキングやタイツを履くのはマナー違反にはなりませんが、弔事の場にふさわしい足元のマナーというものがあります。
今回の記事では、葬儀におけるストッキングとハンカチのマナーを詳しくお伝え致します。
葬儀におけるハンカチのマナー
葬儀の場面でのハンカチは手をふいたりするだけではなく、涙をぬぐったりするための必需品とも言えるものです。喪服にマナーがあるようにハンカチといった小物にもマナーがあります。基本的な葬儀のマナーとして、ハンカチの色は黒色または白色であれば問題はありません。昔から神事や弔事を白装束で行うというのが風習としてあり、故人があの世へ向かう際に着ていくのも白装束とされます。そこから葬儀や告別式といった葬儀に参列する際に白色のハンカチを使うことが正式といわれます。しかし近年では、喪服の色に合わせて黒色のハンカチも許容されるようになりました。特に女性の場合であれば座った時にハンカチを膝に乗せる場合もあるので、黒色のハンカチの方が喪服の色と同化して目立たないかもしれません。
ハンカチの持ち方は女性と男性で異なります。女性はポケットもしくはカバンの中に入れるようにしましょう。できればポケットに入れた方が出し入れする際に音が立ちにくいので良いかもしれません。男性はカバンを持たないのでズボンのポケットに入れるようにしておきましょう。ポケットチーフは海外ではお葬式の時も認められていますが、日本ではマナー違反とされていますので注意が必要です。
ハンカチの色やデザインのマナー
先にもお伝え致しましたが、葬儀の場にふさわしい色は黒や白が基本となります。また、袱紗でよく用いられる紫もマナー違反ではないとされています。ただし原色などの目立つ色は控えた方が良いでしょう。ハンカチのデザインについては、無地が基本です。ただし近年ではレースがあしらわれたものなど多少の装飾であれば許容されるようになってきました。とはいえ柄が入っていなくても、ラメが入ったハンカチは持っていかないようにしましょう。華美なものや装飾の派手なデザインのハンカチは故人を見送るお葬式の場にふさわしくありません。
おすすめのハンカチ素材についてですが「綿・麻・ポリエステル」の三つが挙げられます。これらの素材からできたハンカチはフォーマルな場でも失礼がなく吸水性も高いため快適に使えます。また、お葬式では避けておいた方がよい素材も存在します。タオル生地はフォーマルさを欠きくだけた印象を与えてしまいます。また、シルク生地はフォーマルな場に相応しいという意見もありますが、光沢があるので葬儀には避けたほうが無難でしょう。
また、先にタオル生地のハンカチはフォーマルさに欠けるので避けた方が良いということをお伝え致しましたが実際の葬儀の場面…特に夏場などで汗を拭くために、白色や黒色のタオルハンカチをお持ちの方はいらっしゃいます。気になるようであれば綿のハンカチとタオルハンカチの二枚持ちという方法がスマートでおすすめです。冠婚葬祭用のタオルハンカチというのもありますので絶対に使ってはいけないとは言い切れませんので、ご自身の需要にあわせて選ぶことが大切です。
子供や法事のハンカチのマナー
三回忌以降の法要といった法事のハンカチに明確なマナーというものはありませんが、ダークスーツなど略礼喪服で良いとされますのでハンカチも同様に考えて、黒や白・濃紺・グレーなど控えめな色であれば問題ないでしょう。もちろん柄もひかえめにしましょう。
葬儀に持っていくハンカチは、大人だけでなく子どもにも黒や白といった落ち着いた色合いのものを持たせるようにしましょう。ただし大人よりも若干マナーは緩いので、色柄が目立ちすぎないものであれば問題ありません。普段使いのようなキャラクターものやロングタオルは避けた方が良いでしょう。また子どもは男性と同様にカバンを持ち歩かないので、服のポケットにハンカチを入れるようにしましょう。ポケットが付いていないのであれば親のカバンやポケットに入れて必要に応じて手渡してあげましょう。
ストッキングやタイツの着用のマナー
葬儀においてストッキングは必須アイテムです。葬儀において素肌を出さないのがマナーだといわれていますので素足で参列することはマナー違反になるので必ずストッキングやタイツを使用してください。夏場も同様で暑くてもストッキングは必ず履くようにしましょう。ストッキングはなかなか使用する機会も少ない方が多く、特に冬場は使用する確率が高いタイツを代用しようと考える方も多いようですがタイツも厚さを間違えるとマナー違反となります。タイツはストッキングに比べてカジュアルな印象を与えてしまうため、葬儀には向いていないといわれていますが、現代においてはマナー違反にはあたりません。勿論ファッション性の強いタイツは履くべきではないですが、ストッキングにも見えるタイプであれば服装のマナーとしては正しといえます。しかし、先にも述べた通り弔事では女性はストッキングを履くというマナーが古くからある慣習なので可能な限り黒いストッキングを準備しておくことが望ましいと言えるでしょう。
ストッキングやタイツの選び方のマナー
葬儀に履くストッキングはどの様なものでも良いというわけではなく、弔事の場にふさわしい足元のマナーというものがあります。ここからは、葬儀に適しているストッキングの選び方をご紹介致します。
葬儀に使用するストッキングは基本的に無地の黒色です。黒に近い紺や茶色などもマナー違反となりますので注意が必要です。近年では肌色のストッキングでも良いとされるようになりましたがあまり浸透していないマナーですから年配の方やマナーに厳しい方にとってはマナー違反だと思われてしまう可能性がありますので注意が必要です。
また、ストッキングにはソックスタイプ・パンストタイプといった二つの種類があります。どちらを使用してもマナー違反にはなりませんが、ソックスタイプの場合には座った時などに素足が見えてしまうことがあるので注意が必要になります。パンストタイプのストッキングは一般的なストッキングなので座っても素足が見えることはありませんので安心ですが、特におなか回りなどの締め付け感が強いのでゆったり履きたい方には向いていません。これらのことを踏まえご自身に合う形のストッキングを選びましょう。また、タイツに関してもどれでも良いわけではなくストッキングに準じた厚さのものを選びます。デニールの数字で覚えておけば急な不幸があったときにも慌てずに準備が出来ますので覚えておきましょう。
葬儀で使用するストッキングは少し肌が透ける程度のものを履くのがマナーです。デニール数で言うと30デニール以下のストッキングが好ましいとされており、葬儀用として市販されているストッキングは20デニールとなります。30デニールより上のものはカジュアルすぎる印象を与えてしまうことがあるので避けるのが無難です。タイツは20~25デニールくらいが葬儀で一般的に履くストッキングの厚みになります。冬場は60デニールくらいであれば大丈夫という考えの方もいるようなので季節に合わせて臨機応変に変更しましょう。マナーを守るために参列者が体調を崩してしまっては故人も嬉しくないはずですから、寒い時期はタイツも60デニールまでなら透け感もあり許容されています。リブタイツや分厚いものを選ばなければタイツで参列可能ですから、体が冷えないよう無理をせず体調に合わせて着用してください。また、近年では素肌が透けて見えるような加工が施された厚手のタイツも販売されているので、そういったものを使用するのも良いかもしれません。
その他の注意点のマナー
訃報は突然やってくるものですから、手のネイルは対処していても足のネイルの対処を忘れていたという方を時折見掛けます。葬儀の場面で靴を脱ぐ機会は少ないかもしれませんが、万が一靴を脱いだ場合、薄手のストッキングから足の爪は見えてしまいます。足の爪なんて目がいかないだろうと考えてしまうかもしれませんが、葬儀の場においては色物を身につけないため、目立ってしまう可能性がないとは言い切れません。落としたくないという方はネイルを隠す方法もあるので検討してみると良いでしょう。
また、近年ではストッキングやタイツにもラメや柄・ワンポイントなどが付いているものが多くあります。しかしそういったタイプは葬儀の場面ではマナー違反となります。必ず無地のストッキング・タイツを使用しましょう。また、ストッキングはとても薄い布なので履いている途中になにかに引っかかっただけでも破れてしまうことがあります。特に黒いストッキングはすぐに伝線した場所がわかってしまうほど目立つでしょう。そういった場合でも安心なように予備のストッキングを用意しておくと良いでしょう。
長めのスカートを着用していたとしても、短いストッキングでは座るとひざ下が見えてしまいます。お葬式や法事などでは椅子に着席したり畳に正座したりすることも多いので、ひざ丈やくるぶし丈では少々不安です。見た目が悪いだけでなく、肌を露出しないというマナーを守るためにも太ももまでの長さがあるものやパンツタイプを選びましょう。