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お布施のマナー

仏教葬儀や法事の際には僧侶にお布施を手渡すことが一般的ですが、お布施の料金は決まっているものではなく多くの場合は相場に応じて利用者が金額を決めて渡しています。僧侶を呼ぶ際にはお布施はどのように渡すのかの知識を蓄えておくと良いでしょう。また、お布施を渡す際、どれ程度の金額を包むのが正解なのか悩む方が実際に多いようです。実際にお布施をいくら用意すれば良いのかお伺いしても「お気持ちで」と言われることも少なくありません。
今回の記事では、お布施のマナーを詳しくご紹介致します。


お布施のマナー

葬儀

近年ではお布施は読経や戒名を授与していただいた際にお渡しする謝礼としての一面が強くなっています。そのため、葬儀や法要の際に寺院に納めるものといった認識をお持ちの方も多くいらっしゃるかと思います。
仏教の教えでは修行によって悟りの世界へと導かれるとされています。その修行には六分野あるといわれ、六分野の中のひとつが「布施」なのです。布施という修業は他人に対し見返りを求めることなく何かしらの施しをするという修行で、施しには金銭の援助だけでなく知恵を授けることであったり、何かしらの行為で援助する行為を指したりもします。近年ではお坊さんに供養の手助けをしていただいたことへの感謝の気持ちとして包む金銭を「お布施」と認識するのが一般的ですが、葬儀や法要で寺院に納めるお布施はこの修行の考えに基づいたもので、本来は読経や戒名への対価として支払う金銭ではありません。

葬儀後であっても四十九日をはじめ、一周忌・三回忌といった法要を営むケースが一般的ですので、故人が亡くなったその時だけの関わりではなく寺院とは何十年とお付き合いが続きます。寺院に墓がある場合には法要のない期間も墓を守り定期的に読経をあげ手厚い供養を続けてくれているものです。こうした勤めに対し感謝を金銭というかたちで表す一方で、遺族(檀家)は寺院へのお布施を通して修行を積めるとされているのです。お布施は寺院と遺族をつなぎ、共に故人を供養していく上でも大切なものだといえるでしょう。

お話した通り、葬儀の際とその後の年忌法要などでもお寺と関わっていくことになりますが、その都度お布施の金額は異なります。妥当な金額を知りたい場合であっても、僧侶によっては「お気持ちで」との答えしかいただけない場合もあるかもしれません。ここから先はお布施の金額を決める場合にはどうしたらよいのかをご紹介致します。

お布施の決め方のマナー

お布施の金額について寺院に問い合わせてみると、実際に「お気持ちで」といわれることも少なくありません。施主としてお布施を用意する立場になった際に、葬儀や法要について詳しくなかったり、経験がなかったりすると困ってしまうことが想定されます。お気持ちといっても実際にはある程度の目安が存在します。想像する金額は人それぞれ価値観が異なるため、分からない場合には、ご自分だけで判断するということはせずに親族や同じ檀家の方にアドバイスをもらうなどして調べてみましょう。宗派や地域によってもお布施の目安は異なるものですので身近な方々に聞くと安心です。
そういった方法をとっても、どうしても分からない場合にはお坊さんに直接尋ねてみるのもひとつの手です。単刀直入に聞くのは、はばかられるかも知れませんがはっきりとした金額の目安を答えてくださるお坊さんもいます。「お気持ちで」と言われた後であっても「皆さんはどれくらい包まれているでしょうか」などと伺い「いくら用意する」といった直接的な表現は避けましょう。

かなり稀なケースと言えますが、お布施が目安より極端に少なかった場合には寺院から「お布施が少ない」と言われてしまうもあるかもしれません。一般的には地域差や世代の差で起こりやすいと言われているトラブルですが、実際に寺院からお布施が少ないと言われてしまった場合にどうしたらよいのかについてご紹介致します。
お布施が寺院の考えているより少なかったとしても、直接施主や喪主に「お布施が好きない!」と言うことはほとんど無いといっても良いでしょう。お布施の金額は寺院が決めるのではなく、あくまでも納める側が決めることだからです。入れ忘れたなど明らかなミスである場合には確認が入ります。位の高い戒名を授かっていたり、常識からあまりにもかけ離れていたりするとお坊さんからたしなめられることもあるでしょう。特に、戒名は夫婦で位を合わせるため妻が高い位の戒名を授けていただいたら夫のときも同じ位とするのが一般的で、お布施の目安もそれに見合った額を包みます。
お布施を納めた後に、目安から大幅に少なかったことが分かった場合には改めて包んでお渡しするのがよいでしょう。例えばその地域の目安が20万円だとして3万円しか包んでいなかった場合などは、改めてお布施を包みます。お布施は本来であれば修行として金品などを施す行為とお伝えした通り、葬儀や法要の際だけものではないのでいつでも納められると覚えておきましょう。お寺とは数十年間続くお付き合いになるため、遺族が後ろめたさや失礼に当たると感じることは避け真摯な対応を心がけましょう。

あまりにも高額なお布施を要求された、経済的な負担が大きすぎるなど遺族と寺院の認識が大きくかけ離れている場合は、寺院を変えることも選択肢としてあります。ただし檀那寺の変更を検討する前に、寺院が目安とする金額に妥当性があるかを見極めなければなりません。
お布施は納める額が決まっていない分、お布施が高いというだけで寺院を変えるという選択を安易に選ぶのは危険な行為とも言えます。お布施の金額に困ったら、周囲の方々や葬儀社といったお布施事情に詳しい人に相談してみましょう。

お布施の相場のマナー

一言にお布施といっても、包むタイミングによって金額の目安は異なります。一般的には葬儀では通夜から告別式までを一括でお布施とするため多く包む傾向です。一方法要では一周忌・三回忌と法要を重ねるごとにお布施の目安金額が変わることもあります。

一般葬や家族葬において僧侶を呼ぶ場合、お通夜から火葬までに読経が複数回あり、戒名もつけていただくという流れが一般的です。これに対する感謝のしるしとして用意するお布施の目安は地域差が非常に大きく、また戒名の位によっても相場が変わります。約30万円から70万円程度で納めるのが一般的と考えておきましょう。
また、初七日を葬儀の日に繰り上げて執り行うことも多く、その分も上乗せして一緒にお渡しする場合もあります。

法要の一般的なお布施の目安としては四十九日・一周忌法要では3万円から10万円のお布施を包み、三回忌以降の法要では1万円から5万円を包んでお渡しするのが一般的です。納骨の有無によって用意したいお布施の目安も変わり、月命日や彼岸に読経をお願いするなら5,000円から1万円程度を納めるとよいとされています。ここまでにお伝えした相場や目安は地域や宗派・個人の考え方で大きく異なりますので、あくまでも「目安として」捉えてください。

また、お布施のほかに、喪主や親族が送迎する場合は不要ですがお坊さんに足を運んでいただく場合には「お車代」が別途必要になります。法要後に会食を設ける際、お坊さんが参加しないときには「御膳料」を別途用意する必要があります。どちらもお布施とは別の白い封筒にそれぞれ「お車代」または「御膳料」と記しお渡しします。事前に必要であると分かっていればお布施と一緒にお渡ししてもよいでしょう。その際も封筒は別に準備をします。

ここまでお布施などについてあくまで金銭的に目安や相場をお伝えしてきましたが。お布施は金銭でなければならないのでしょうか?先にも本来であればお布施は「金銭の援助だけでなく知恵を授けることであったり、何かしらの行為で援助する行為を指す」とお伝えしましたので、そのような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
実際に、昔は持っている米や反物・骨とう品などといったその当時貴重だった品々もお布施として納められていました。近年では財施として金銭を納めるようになりましたが、これらは僧侶のものになるわけではなく寺院の修繕費や運営費に充てられるお金であり、「現金以外のものを納めるのは現在において一般的ではありません。」
どうしても何か品物を納めたいという場合には、お布施とは別に菓子折りなどを添えて感謝の気持ちを表すとよいでしょう。本堂で使う家具や仏具をお布施として納めることもあるようです。

近年では直葬を選ぶ方も増えてきました。直葬は火葬式とも言われ、葬儀を執り行わずに火葬のみを執り行う送り方です。お坊さんに依頼して炉前法要をする場合と何もしないで火葬のみを済ませる場合とあります。火葬場でお坊さんに読経をしていただく炉前法要をする場合はお布施が必要です。通常の葬儀とは違い火葬場での読経のみになるので、金額の目安は一般葬や家族葬に比べると少なくなる傾向にありますが、戒名を授与していただく場合はその分をプラスして包むことも覚えておきましょう。

葬儀におけるお布施に大きく影響を及ぼすのが戒名でしょう。戒名とは故人がお坊さんにつけていただく死後の名前のことで、戒名は読経の都度呼んでいただき、位牌やお墓の卒塔婆にも刻まれます。戒名には位があり、その位の高さによってお布施の目安も変わります。


お布施・御膳代・お車代のマナー

お布施

お布施は僧侶への感謝の気持ちとして、手渡す金品のことでお葬式や法要などの際に用意します。亡くなった方を弔う厳かな場のため現金をむき出しで渡すという訳にはいきませんので、マナーに沿って感謝の気持ちを表すことが大切です。お布施の現金を用意するところから一定のマナーがあります。基本的なマナーをひとつずつご紹介致します。

まずはお布施に使用する現金についてですが、新札が望ましいとされています。それは「この日のためにきれいなお札を用意した」という心遣いを表すためです。葬儀の場合において突然の訃報であることが多いため新札である必要はないとされていますが、前もって分かっている法要などで僧侶を呼ぶ際には可能な限り新札を用意すると良いでしょう。どうしても新札が用意できない場合には可能な限りきれいなお札を選ぶようにします。
また、お札の入れ方にも作法があります。紙幣に描かれている肖像画が封筒の表側にくるように入れましょう。たとえば一万円紙幣は向かって左側に「壱万円」と書かれ、右側に肖像画があります。封筒に入れる際に「壱万円」と書かれているほうから封筒に入れ、肖像画が封筒の封をする側にくるようにしましょう。

僧侶を呼ぶ際に忘れてはならないものが食事代を指す「御膳料」と交通費を指す「お車代」です。これらはお布施とは別に用意しましょう。御膳料とお車代ともに相場は5,000円から1万円といわれています。お寺が歩いて数分の場所にある場合などは必ずしもお車代を渡す必要はありませんが、御膳料やお車代は現実に即した形で用意するようにしましょう。御膳料とお車代はお布施と封筒を分けることが一般的ですが、御膳料とお車代それぞれ二つの別の封筒に入れるとより一層丁寧な印象を与えます。入れる封筒に決まりはありませんが、白の無地が無難でしょう。封筒の表にそれぞれ「御膳料」「お車代」と書きます。手渡す際にはお布施の下に御膳料とお車代の封筒がくるようにしましょう。お布施、御膳料、お車代の順番です。

お布施の包み方や書き方のマナー

お布施ではお金を包む特有のしきたりがあります。そのまま封筒に入れれば良いというものではありませんので注意が必要です。また、包み方は地域事情によって異なる部分もありますが、一般的なマナーは存在します。ここからはお布施の基本的な包み方についてご紹介いたします。

お布施は「奉書紙(ほうしょがみ)」と呼ばれる紙に包むことが一般的です。奉書紙とは和紙の一種で、表はつるつるとしていて裏はざらざらとした手触りになっています。包み方については、奉書紙を使う前に紙幣の肖像画が描かれているほうを上向きにしてまず半紙で包みます。そして半紙で包んだ紙幣を奉書紙でさらに包むという手順になります。奉書紙はつるつるとした面が表なので、包む際にはざらざらとした裏面に紙幣を置きます。
また、地域によっては水引が必要な場合もあります。水引は邪気を取り払うものとされていますがお布施の場合は寺に不幸などがあったわけではないため、お布施にかける水引は原則として必要はありませんが地域によっては水引をつけるしきたりがあるところもあります。関西では黄色と白の水引を利用することが一般的とされています。この様に地域によっては、水引を利用しないとマナー違反となる場合もありますので注意が必要です。
奉書紙が用意できなかった場合は、白い封筒で代用しましょう。その際の注意点として、郵便番号を書く欄のない封筒を選ぶ・二重になった封筒を使わない様にしましょう。郵便番号欄のある封筒ではあまりにも準備不足という印象になってしまいますし、二重になった封筒は「不幸が重なる」ことを想像させるため、避けたほうがよいとされています。

お布施の書き方にも一定のマナーがあります。書き方ひとつでマナー違反となってしまいかねませんので、封筒の表の書き方はもちろんのこと、中袋への書き方にも注意しましょう。まず封筒の表には、向かって中心よりやや上の部分に「お布施」もしくは「御布施」と書きましょう。そのほか「御経料」「御礼」などと書く方法もあります。書く際には、濃い墨の筆を使うようにしましょう。理想は毛筆ですが毛筆が使いづらい場合は筆ペンでも問題ありません。
中袋に書き込む項目は「名前・住所・金額」です。郵便番号や電話番号も記載するとより丁寧な印象になります。金額を記載する際の表記は漢字の旧字体(大字)を使うことが一般的です。

主な旧字体(大字)
1(壱)
2(弐)
3(参)
4(四)
5(伍)
6(六・陸)
10(拾)
1,000(阡・仟)
10,000(萬)

金額の頭には「金」の文字を付け足し、最後は「圓也」とします。1万円でえあれば「金壱萬圓也」といった形です。金額を書く欄が横書き指定の場合は算用数字で書いても構いませんが枠がない場合は縦書きです。
名前は封筒の表の下の部分に書くようにします。施主の名字だけか「○○家」もしくはフルネームで書きましょう。書く際は上の部分に書いてある「御布施」の文字より大きくならないように注意します。「御布施」と書いたときと同じ毛筆か筆ペンで濃墨を使用してしっかり書きましょう。名前を書き忘れると僧侶はだれからのものか区別がつかなくなってしまいますので書き忘れがないように注意が必要です。

渡し方や袱紗の包み方のマナー

お布施の渡し方にもマナーがあります。お布施をポケットから取り出しそのまま僧侶に渡すようなことは避けましょう。お布施を僧侶に渡す際にもっとも一般的な方法が、袱紗に包むことです。袱紗には人の気持ちを乗せて運ぶという意味合いが込められており、故人を弔ってもらいありがとうございますという気持ちを僧侶に運ぶという意味から袱紗が使われるようになったそうです。袱紗に包んだら直接僧侶に手渡しましょう。誰かに託したりどこかに置いたりすることは相手への誠意に欠けます。お布施は、お経をあげてくれたことなどに対する感謝の気持ちを表すものです。誠意を持って直接渡しましょう。渡すタイミングは法要の前か後どちらでも問題ありません。「本日はどうもありがとうございます。どうぞお納めください」などの言葉とともに渡すとよいでしょう。
弔事の際によく使われる袱紗の包み方については、始めに袱紗の角が向かって自分のおなかにくるように広げ自分から見るとひし形の向きなるようにしましょう。袱紗の中心よりやや右側に封筒を乗せ、ひし形の右の角を封筒にかぶせるように折り、袱紗の下の角を封筒にかぶせます。順番に上の角、左の角を封筒にかぶせて包めば完成です。

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