供花と供花に対するお礼のマナー
供花はお悔やみの気持ちを込めた弔意として祭壇などに添える花の事を指し「きょうか」「くげ」と読み、訃報を受けた故人との間柄によっては供花を贈る場合があります。また、供花に対するお礼は地域のみならず家庭によっても判断基準が異なるため、正解があるわけではありませんがマナーが存在します。
今回の記事では、供花と供花に対するお礼のマナーを詳しくご紹介致します。
供花が手配される際のマナー
喪主の方々が対処方法に迷う要素のひとつが供花に対するお礼です。香典とは異なり、たとえ辞退の旨を連絡してあっても贈られるケースがあります。
参列者が供花を贈るケースは、葬儀参列者が香典と共に贈るケースと葬儀に参列しない方が宅配便などで会場や家に贈るケースの主に二つで分けられます。第三者が供花を贈りたいとなった際の多くの場合は遺族に葬儀社に関する問い合わせが入るでしょう。供花やお供物を辞退していない場合は先方が葬儀社と直接やりとりができるようにファックスの注文用紙を送ったり、メールアドレスなどの連絡先を知らせたりします。供花が依頼されると遺族側には葬儀社を経由して連絡が入ります。また、施主や喪主が供花の辞退に関する意思表示をしない限りは、先方は供花の手配を進めるということを覚えておかなければなりません。
葬儀の参列者から事前に供花を贈る旨の連絡を受けた後、葬儀当日に香典も持参するというパターンがあります。施主や喪主には多くの場合、葬儀社を経由して供花に関する一報が入るため記帳時に照らし合わせたり、どの供花が誰から贈られてきたかを事前に把握したりすることでお礼の準備がスムーズにできます。葬儀に参列できない方が、香典の代わりとして供花を手配して贈るというケースもあります。この場合も供花を贈ってよいかどうかの確認が入るのが一般的です。また、葬儀に出られない人が生花店に依頼して故人の遺体が安置されている自宅に枕花として供花を手配することもあります。葬儀には出られないとして事前に弔問を受ける場合でも枕花を持参してくれることもあるでしょう。そうしたお花も葬儀場で飾る供花と同様後日お礼を手配します。
供花のお礼のマナー
供花は葬儀会場に直接宅配されるという特性から、お礼に対する考え方はもらったシチュエーションに合わせて都度考えなければなりません。具体的には、返礼品不要と断りの言葉が添えてあればお礼状を送付する、具体的に断っていないのであればお礼の品を贈るといった2パターンが考えられます。お礼の品物を手配するかどうかの基準となるのは贈ってくださった相手の意向です。また、供花に対するお礼の考え方には、地域性も深く関係します。家族ごとに考え方が異なる場合も予想されるでしょう。
供花は多くの場合で葬儀社と贈る方の直接やりとりで成立するために香典と管理体制が異なることもあり、思わぬミスやトラブルに遭遇する場合もあります。供花のお礼をスムーズにするポイントをあらかじめ把握しておくことによって、相手の方に失礼のないようミスやトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
まずは供花が誰から贈られたかを把握するようにしましょう。誰から供花をもらったか明確にしておくことでお礼の準備がしやすくなります。また、供花は香典と共に贈られることもあるため、芳名帳と連携すれば誰が供花と香典をセットで送ってくれたかも分かりやすくなるでしょう。葬儀中にメモやエクセルなどを活用して記録を残しておくと、増減に対応しやすく落ち着いた際に確認できるためおすすめです。
また、どこの誰から供花を頂いたかが明確にできるともらった先に応じたお礼の準備がしやすくなります。供花は個人で贈られることもあれば、友人一同や会社など連名あるいは団体で贈られることもあるものです。連名や団体の場合は小分けにできる品物、故人の場合は少量の消えものやカタログギフトなどが選択しやすくなります。
供花は、贈るという連絡を受けてから届けられるのが一般的です。しかし突然供花が届く場合もあるということも、あらかじめ想定しなければなりません。お礼の品やお礼状書面を少し多めに用意しておくことで、突然届いた供花へのお礼にも対処しやすくなるだけでなく足りなくなる心配も減るのであらかじめ多めにお返しを用意しておくと良いでしょう。
地域によっては、お礼状だけでも済ませる場合もありますが供花を頂いたら多くの場合は「気持ち」としてお礼状とお礼の品をセットで送ることが多いものです。スマートにお礼の気持ちが伝えられるよう、お礼品に関するマナーも把握しておきましょう。
供花に対するお礼品の金額相場は一般的には「もらった供花の金額の3分の1から半額ほど」が目安です。香典と供花をセットでもらった場合は香典に封入されていた金額と供花の価格を合算した金額を基準に3分の1から半額ほどを目安としたお礼品を用意します。しかし、供花のお礼の品の金額相場については明確な定義がないだけでなく地域性があることを考慮しなければなりません。葬儀社や周囲の方に確認し、適切な価格帯のお礼品を準備するのが近道です。
供花のお礼品はお供え物のお礼と同じく形に残ることのない消えものがふさわしいと言えます。お茶やコーヒーといった飲料をはじめ、小分けにできるお菓子やのり・乾麺類などが無難です。入浴剤・洗剤・タオルなどといった日用品もよいとされています。
また、掛け紙についてはお礼の品でも弔事用の結び切り(黒白や黄白・双銀)の水引があしらわれた掛け紙が採用されます。表書きについては「志」とするのが最も多いですが、関西地方や一部地域では表書きが「粗供養」と表記される場合があるため注意が必要です。心配な場合は葬儀社に確認しながら掛け紙の手配をすると良いでしょう。水引より下部中央には喪家あるいは喪主の姓を記載します。お礼の品物の手配では品物だけを送るのではありません。手書きのお礼状とは別に、改めて供花を頂いたことに感謝しお礼品を贈る旨のお礼状やカードを添えて配送手配するのがマナーです。
供花に対するお礼の品やお礼状を贈るタイミングは供花をもらったシチュエーションによって変化するのが特徴です。贈ってくれた方がどのような人なのか・どのような形式だったのかをきちんと把握し失礼のないタイミングで贈りましょう。
お礼の伝え方のマナー
供花をもらったら、お礼の品を贈るか贈らないか関係なく施主はお礼状を作成して送付しなければなりません。供花のお礼状は印刷でも対応できますし、メールや電話のみでも差し支えありませんが可能な限り手書きでお礼状を作成したほうが無難でしょう。
お礼状を作成するのではなく、電話やメールで相手にお礼をしても良いか迷う方もいらっしゃるかと思います。供花を頂いた際のお礼は手書きのはがきまたは手紙で準備するのが無難と言えますが、お礼状を作成するまでに時間がかかってしまうことが想定される際には取り急ぎの対応として電話やメールでお礼の一報を出しても問題ありません。しかし、礼儀やマナーを重んじる方も一定数いらっしゃることを考慮し、メールや電話のみで済ませようとしている場合は相手との関係性を十分考慮する必要があります。
供花のマナー
供花とは、故人へのご冥福を祈る弔意を込めて生花を供える事で霊を慰めるという意味を持っています。その昔に釈尊が亡くなられた時に天から宝花を降らせ釈尊の供養をしたという説を元に、親族を始め故人と親交のあった人が送る最後の送り物とされています。特別な決まりは無い為、気持ち次第で誰でも送る事が可能です。寄せられた供花は祭壇の周りや斎場の入り口を飾り、故人とのお別れの儀式を荘厳な雰囲気で執り行うのには欠かせないものです。以前は対(二基)で贈るのが慣習でしたが、最近では一基のみ贈ることも増えているようです。送り方には地域や宗教によってもマナーがあるだけでなく、故人の意思を尊重して供花を辞退するという場合もありますので行き違いがないように、事前の確認は必須となり遺族への気遣いが大切です。
故人の訃報が届いたら可能な限り早く手配を行うことが大切となります。しかしながら早すぎる依頼はかえって失礼にあたるので程よいタイミングを図る必要がありますが、遅すぎる事も失礼にあたりますのでお通夜が始まる前には設置完了が出来る様に手配しましょう。供花で使用される花は生花が多く季節によっては取り扱う花の種類には違いがあるので相場価格も変動するという事は頭に入れておきましょう。
供花を贈るタイミングや相場のマナー
供花を贈るタイミングは、お通夜の場合はその日の午前中までに、お葬式の場合は前日までに供花が供えられている必要があり生花の準備と届ける時間が必要ですから、早めに(前日までに)注文するのが良いでしょう。供花の相場は、1基辺り約15,000円~約20,000円と言われていますが5,000円程度からもある場合もありますし、高い物で50,000円を超える物もあるといった様に多種多様になります。故人との関係性を考えたおおよその目安は次の表を参考にして下さい。
- 遺族や親族 1基 約20,000円~程度
- 故人と縁ある会社 1基 約15,000~30,000円程度
- 故人の友人や知人 1基 約5,000円~20,000円程度
なお、供花を贈った場合にはお香典は包まないといった考え方が一部にはあるようですが、お香典と供花は意味合いが異なりますので供花を贈ったからといってお香典を包まないというのはお勧め出来ません。お葬式に会葬できない場合に限りお香典の代わりとして供花を贈ることは認められている事もありますが、お通夜やお葬式に会葬する場合は特に供花を贈ったとしてもお香典を包んだ方が良いでしょう。
供花の贈り方・手配のマナー
供花には遺族や親族による物と、故人の友人や知人や関係者などによる物とで種類があります。遺族や親族による供花は故人が寂しい想いをしない様に祭壇の周りを飾る為の物となります。親族には喪主・喪家側から事前に供花を出して欲しいという旨の相談がある事が多いでしょう。喪家側の方で葬儀社に取り纏め依頼をし、お葬式後に精算する方式が一般的です。故人の友人・知人等による供花にはお通夜・お葬式に会葬する人が出す場合と、お通夜・お葬式ともに会葬できないので供花を出す場合の二通りがあります。いずれの場合も贈り方は、訃報の知らせを聞いたら葬儀会場に連絡をし葬儀社を確認します。葬儀社に連絡をとったら供花を贈る事を依頼します。
この際に、喪家側はお葬式の準備などで多忙を極めていますので問い合わせるのは控えましょう。葬儀会場に連絡をした際に葬儀社ではなく生花店を教えられた場合にはその生花店から供花を贈る事が可能です。葬儀場によっては指定生花店からの生花しか受け付けないところがあるので葬儀社を通すか葬儀場推薦の生花店で依頼するようにしましょう。葬儀場や生花店に供花を依頼すると、贈り主の名前を聞かれますので供花に添える木札も用意してくれます。会社など法人として送る場合には、法人名と代表者名などを木札に明記するのが一般的となります。